阪神淡路大震災以降、「地震に強い家」を口にするセールスマンが増えています。あの大震災で、六〇〇〇人を超える死者・行方不明者の多くが、倒壊家屋の下敷きになって圧死したといわれており、とりわけ老朽化した木造家屋が潰れて、その下敷きになって死んだ人が少なくなかったからだと思います。なるほど「地震に強い家」と言われたら、購入する側はなんとなく安心します。ですが考えてみればこの「強さ」ほど曖昧なものはありません。ケンカにも相手に勝てないまでも「負けない強さ」があります。ボコボコにされて顔中が痣だらけになっても、なおしぶとく食らいついていく「打たれ強い強さ」です。あるいは相手の攻撃をかわすのがうまい人もいるでしょう。結局、相手のほうが音を上げて逃げ出すというパターンです。どんなに打ちのめされても降参しないのだから、傍目には印象が悪かろうと、これも立派な「強さ」といえるでしょう。それと同じで、地震で倒壊したのでは話になりませんが、グラグラ揺れて今にも潰れそうになりながら、最後まで持ちこたえた家は「強い」ということになります。変形はするにしても「壊れるまでには至らない強さ」です。大事なことは「地震に強い」と言った場合の「強さの内容」です。セールスマン自身の口から「壁こそ強さを生む」と語るなら、「柱こそ重要」と思い込んでいる多くの人々に対して、その「強さ」をもたらすメカニズムをきちんと説明してほしいものです。それをせず単に「柱を過信するのは誤解」と言うだけでは、住宅販売のプロとして不親切であり、その曖昧な説明はかえって購入者に不安を招くだけです。
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